「キング・オブ・ミニバン」と名高い日産エルグランドE52。その堂々たる佇まいに憧れる一方で、「燃費が悪い」という評判が気になり、購入に踏み切れない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、メーカーが公表する公式データーと、実際に乗っているオーナーの声を徹底比較し、シビアな実燃費を明らかにします。

さらに、ガソリン代を含めた年間の維持費、購入前に知っておくべき弱点まで掘り下げ、経済性という観点からエルグランドE52を丸裸に。

満タンでの航続距離や最適な給油タイミングなど、日々の使い方に関わる疑問にもお答えし、あなたの不安を解消します。

記事ポイント

  • カタログ燃費だけでなく、街乗りや高速道路でのリアルな実燃費
  • ガソリン代に税金や車検代を加えた、年間のリアルな維持費の総額
  • 燃費や維持費、走行性能を考慮した、自分に最適なモデルの選び方
  • 燃費が悪いと言われる理由と、それを補うための具体的な運転テクニックやメンテナンス方法

【徹底検証】エルグランドE52の燃費とリアルな維持費の実態

エルグランドE52 出典:NISSAN
  • 【結論】エルグランドE52の燃費は実際どう?リッター何キロ走るのか徹底解説
  • 公式データ vs オーナーの声|カタログ燃費と実燃費のギャップを解明
    • グレード・駆動方式別のカタログ燃費(WLTCモード)一覧
    • 街乗り・高速道路で大違い!リアルな実燃費をオーナー30人の声から分析
  • 満タンでどこまで行ける?航続距離と給油タイミングの目安
  • 「燃費が悪い」と言われる理由は?維持費全体から見るエルグランドの経済性
    • ガソリン代は年間いくら?走行距離別シミュレーション
    • 要注意!自動車税・車検費用を含めた本当の年間維持費

【結論】エルグランドE52の燃費は実際どう?リッター何キロ走るのか徹底解説

エルグランドE52の燃費は実際どう?リッター何キロ走るのか

結論から言うと、エルグランドE52の燃費は「現代のミニバンと比較すると決して良くはないが、乗り方次第で許容範囲に収めることも可能なレベル」です。

約2トンという車両重量と、パワフルなガソリンエンジンを搭載しているため、特にストップ&ゴーの多い市街地では燃費が悪化する傾向にあります。

  • 街乗り中心の場合:リッターあたり6km~8km
  • 高速道路中心の場合:リッターあたり9km~11km
  • 全体の平均:リッターあたり約8km前後

これが、多くのオーナーが体感している実燃費の平均的な数値です。もちろん、この数値はエンジンの種類(2.5Lか3.5Lか)や運転スタイルによって大きく変動します。

「燃費が悪い」というイメージが先行しがちですが、その豪華な内外装や快適な乗り心地といった、燃費以外の魅力を高く評価しているオーナーが多いのも事実です。

公式データ vs オーナーの声|カタログ燃費と実燃費のギャップを解明

車の燃費を語る上で欠かせないのが、メーカーが公表する「カタログ燃費」と、実際に路上を走行した際の「実燃費」の比較です。エルグランドE52においても、この2つの数値にはギャップが存在します。

グレード・駆動方式別のカタログ燃費(WLTCモード)一覧

まず、公式な指標であるWLTCモードのカタログ燃費を見てみましょう。WLTCモードは「市街地」「郊外」「高速道路」という3つの走行モードを平均的な時間配分で構成した、より実態に近い国際的な燃費測定基準です。

エンジン 駆動方式 カタログ燃費 (WLTCモード)
2.5L 2WD 10.0km/L
4WD 9.7km/L
3.5L 2WD 8.7km/L
4WD 8.4km/L

表からわかる通り、最も燃費が良いのは「2.5Lの2WDモデル」で10.0km/L、逆に最も燃費が低いのは「3.5Lの4WDモデル」で8.4km/Lとなっています。

街乗り・高速道路で大違い!リアルな実燃費をオーナー30人の声から分析

では、実際のオーナーはどれくらいの燃費を記録しているのでしょうか。約30名のオーナー報告を基に、走行シーン別の実燃費を分析しました。

【2.5Lモデルの実燃費】

  • 市街地走行の平均:約8.0km/L(7.0~8.5km/L)
  • 高速道路走行の平均:約10.0km/L(9.0~11.0km/L)

【3.5Lモデルの実燃費】

  • 市街地走行の平均:約6.5km/L(5.5~7.5km/L)
  • 高速道路走行の平均:約8.5km/L(7.0~9.0km/L)

この結果を見ると、実燃費はカタログ燃費のおおよそ70%~85%程度になることがわかります。

特に、信号や渋滞の多い市街地走行では燃費が落ち込みやすく、3.5Lモデルではリッター5km台まで低下するケースも見られます。

一方で、一定速度で巡航できる高速道路ではエンジン効率が高まり、特に2.5Lモデルではカタログ燃費に近い数値を記録することも珍しくありません。

エルグランドの購入を検討する際は、ご自身の主な利用シーンが街乗りなのか、それとも高速道路なのかを考慮することが、燃費を見極める上で非常に重要になります。

満タンでどこまで行ける?航続距離と給油タイミングの目安

満タンでどこまで行ける?航続距離と給油タイミングの目安
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「このクルマ、満タンにしたら一体どこまで走れるんだろう?」長距離ドライブの前など、特に気になるのが航続可能距離です。エルグランドE52のガソリンタンク容量は、2.5L・3.5Lモデルともに73リットルです。

この容量と、先ほど算出した実燃費を基に、満タン時の航続距離の目安を計算してみましょう。

モデル 走行シーン 計算式 (実燃費 × 73L) 航続距離の目安
2.5L 市街地 約8.0km/L × 73L 約584km
高速道路 約10.0km/L × 73L 約730km
3.5L 市街地 約6.5km/L × 73L 約475km
高速道路 約8.5km/L × 73L 約621km

もちろんこれはあくまで計算上の目安ですが、高速道路を上手に使えば、2.5Lモデルなら無給油で東京から岡山あたりまで、3.5Lモデルでも大阪あたりまでは十分に射程圏内となります。

給油タイミングの考え方 給油ランプは、一般的にタンク残量が10~15リットル程度になった際に点灯します。これを基にすると、ランプ点灯後もおよそ60km~100km程度は走行できる計算になります。

しかし、精神的な安心感や、ガソリンスタンドが見つからないといったリスクを避けるためにも、燃料計のメモリが残り1/4程度になったら給油する習慣をつけておくと、余裕を持ったカーライフが送れるでしょう。

「燃費が悪い」と言われる理由は?維持費全体から見るエルグランドの経済性

エルグランドE52の燃費が、現代の基準で見劣りすると言われるのには、明確な理由が存在します。それは単に「古いから」というわけではありません。クルマの構造と設計思想に起因するものです。

「燃費が悪い」と言われる理由は?維持費全体から見るエルグランドの経済性

  1. 約2トンの車両重量: 最も大きな要因は、その重さです。豪華な内装や広い室内空間を実現するため、エルグランドE52の車両重量は約2トンにも達します。この重い車体を動かす、特に発進時には大きなエネルギーが必要となり、燃費が悪化しやすくなります。
  2. ハイブリッド不在の純ガソリンエンジン :ライバルであるアルファード/ヴェルファイアが早い段階からハイブリッドモデルを導入し、燃費性能を向上させてきたのに対し、E52型エルグランドにはハイブリッドの選択肢がありませんでした。搭載されている2.5Lおよび3.5Lエンジンは、燃費効率よりも滑らかで力強い走りを重視した設計のため、燃費面では不利になります。
  3. 時代の流れ: E52型が登場した2010年以降、自動車業界では燃費改善技術が飛躍的に進化しました。アイドリングストップの普及やCVTの効率化など、ライバルが次々と新技術を取り入れる中で、E52は基本的な構造を変えずに販売され続けたため、相対的に燃費が悪いというイメージが定着したのです。

ガソリン代は年間いくら?走行距離別シミュレーション

では、実際に年間のガソリン代はどれくらいになるのでしょうか。走行距離別にシミュレーションしてみましょう。 ※ガソリン価格はレギュラー175円/L、ハイオク185円/Lで計算。 ※実燃費は2.5Lモデル8.5km/L、3.5Lモデル7.0km/Lと仮定。

年間走行距離 2.5Lモデル (レギュラー) 3.5Lモデル (ハイオク)
5,000km 約102,900円 約132,100円
8,000km 約164,700円 約211,400円
10,000km 約205,800円 約264,200円

年間1万km走行する場合、3.5Lモデルは2.5Lモデルに比べて年間約6万円もガソリン代が高くなる計算です。この差は、購入後の家計に直接影響する大きなポイントと言えるでしょう。

要注意!自動車税・車検費用を含めた本当の年間維持費

エルグランドのような大型ミニバンを維持するには、ガソリン代以外にも様々な費用がかかります。特に金額の大きい「税金」と「車検」について見ていきましょう。

【毎年かかる税金】

  • 自動車税(種別割) 排気量に応じて毎年課税されます。
    • 2.5L(2,488cc):43,500円
    • 3.5L(3,498cc):57,000円 ※新車登録から13年を超えると、さらに約15%重課されます。

【2年ごとに必要な費用(車検時)】

  • 自動車重量税 車検時に2年分をまとめて支払います。
    • 2.5Lモデル(~2.0t):32,800円
    • 3.5Lモデル(2.0t~):41,000円
  • 自賠責保険料:17,650円(24ヶ月)
  • 印紙代:約1,800円
  • 車検基本料・整備費用:約50,000円~100,000円(交換部品により変動)

これらの費用を合計し、年間の維持費を概算すると以下のようになります。

費用項目 2.5Lモデル (年間目安) 3.5Lモデル (年間目安)
自動車税 43,500円 57,000円
車検関連費用 (※) 約56,100円 約60,200円
ガソリン代 (1万km走行) 約205,800円 約264,200円
合計 (概算) 約305,400円 約381,400円

※車検関連費用は、法定費用(重量税・自賠責保険料・印紙代)と車検基本料を合計し、2年で割った概算金額です。

このように、エルグランドE52を維持するには、2.5Lモデルで年間30万円以上、3.5Lモデルでは年間40万円近くの費用が一つの目安となります。燃費だけでなく、こうしたトータルコストを把握した上で、購入を検討することが非常に重要です。

購入前に知るべきエルグランドE52の燃費と後悔しない賢い選び方

購入前に知るべきエルグランドE52の燃費と後悔しない賢い選び方

  • 【モデル選択の決定版】あなたに合うエルグランドはどっち?
    • 2.5L vs 3.5L|動力性能と燃費のトレードオフを比較
    • 雪道や坂道は?2WDと4WDのメリット・デメリットと燃費差
    • 前期・後期モデルでの燃費の違いと選び方のポイント
  • 購入前に知っておきたいE52型エルグランドの弱点とは?
  • 明日から実践可能!燃費を1km/Lでも向上させる具体的な方法
    • アクセルワークで差がつく!プロが教えるエコドライブ術
    • タイヤ空気圧とオイル交換|燃費に効くメンテナンスのコツ
  • 【ライバル比較】アルファード/ヴェルファイアと燃費はどっちがいい?
  • 中古車購入前に必読!燃費性能がリセールバリューに与える影響
    • 賢い売却のために|燃費性能は下取り価格にどう響くか
  • 【番外編】エルグランドにハイブリッドモデルは存在する?
  • 【最新情報】次期型(新型)エルグランドの燃費はどうなる?

【モデル選択の決定版】あなたに合うエルグランドはどっち?

エルグランドE52の選択肢は、大きく分けて「エンジン」「駆動方式」「年式(前期/後期)」の3つの軸で考えることができます。それぞれのメリット・デメリットを比較し、あなたにとってのベストな組み合わせを見つけていきましょう。

【モデル選択の決定版】あなたに合うエルグランドはどっち?

2.5L vs 3.5L|動力性能と燃費のトレードオフを比較

エルグランド選びで最も悩ましいのが、2.5Lと3.5L、どちらのエンジンを選ぶかという点です。これは「経済性」と「走りの余裕」のどちらを優先するかの選択と言えます。

項目 2.5Lモデル 3.5Lモデル
おすすめな人 維持費を抑えたい方
街乗りがメインの方
パワーと加速感を重視する方
高速走行や多人数乗車が多い方
走行性能 日常使いには十分なパワー。
軽快な走りが持ち味。
V6エンジンならではの力強く滑らかな加速。
高速や坂道でも余裕たっぷり。
燃費・維持費 レギュラーガソリン仕様で経済的。
自動車税も安い。
ハイオクガソリン仕様。
燃費・税金ともに高コスト。

【まとめ】経済性の2.5Lか、走りの余裕の3.5Lか: 日常の足として、また維持費を少しでも抑えたいのであれば2.5Lモデルが合理的です。

一方で、高速道路を頻繁に利用したり、多人数での長距離移動を楽しんだりする機会が多い方には、ストレスのないパワフルな走りを実現する3.5Lモデルが大きな満足感を与えてくれるでしょう。

雪道や坂道は?2WDと4WDのメリット・デメリットと燃費差

次に考えるべきは駆動方式です。特に雪の降る地域にお住まいの方や、アウトドアレジャーが好きな方にとっては重要な選択肢となります。

  • 2WD(前輪駆動) 降雪地帯以外にお住まいで、主に市街地を走行するなら2WDで十分です。車両価格が安く、構造がシンプルなためメンテナンスコストも抑えられます。4WDに比べてわずか(カタログ値で0.3km/L程度)ですが燃費が良いのもメリットです。
  • 4WD 雪道や凍結路、未舗装路などを走行する機会が多い方には、絶大な安心感をもたらします。E52に搭載される「ALL MODE 4×4」は、路面状況に応じて最適なトルクを四輪に配分し、滑りやすい場面でも安定した走行をサポートします。燃費の低下や価格アップというデメリットを考慮しても、安全性を優先するなら選ぶ価値は十分にあります。

【まとめ】ライフスタイルに合わせて選択 :お住まいの地域やクルマの使い方を基準に、「自分にとって4WDの安心感が必要か」を判断するのが賢明です。

前期・後期モデルでの燃費の違いと選び方のポイント

E52型は2014年1月のマイナーチェンジを境に「前期型」と「後期型」に分かれます。中古車市場で価格が大きく異なるこの2つのモデル、どちらを選ぶべきでしょうか。

  • 燃費の違い 後期型ではCVT制御の最適化などが行われましたが、燃費性能に劇的な差はありません。前期・後期の選択において、燃費は決定的な要因にはならないと考えて良いでしょう。
  • 選び方のポイント 選択の基準は「価格」と「デザイン・装備の満足度」になります。
    • 前期型(2010年~2013年)の魅力 最大の魅力は圧倒的なコストパフォーマンスです。中古車価格がこなれており、少ない予算でエルグランドオーナーになることができます。力強くもシンプルな外観を好む方にもおすすめです。
    • 後期型(2014年~)の魅力 存在感を増した大型フロントグリルなど、より洗練されたモダンな外観が特徴です。内装の質感や静粛性も向上しており、クルーズコントロールが全車標準装備になるなど、装備面も充実しています。リセールバリュー(再販価値)も前期型より期待できます。

【まとめ】「安さ」の前期か、「新しさ」の後期か :とにかく初期費用を抑えたいなら前期型、デザインの満足度や将来的なリセールを考えるなら後期型、という基準で選ぶのがおすすめです。

購入前に知っておきたいE52型エルグランドの弱点とは?

購入前に知っておきたいE52型エルグランドの弱点とは?

どんなに魅力的なクルマにも、必ず知っておくべき弱点が存在します。エルグランドE52の購入後に「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、ネガティブな側面もしっかりと把握しておきましょう。

  1. 燃費性能の低さ(最大の弱点): これは記事の前半で詳しく解説した通り、最も広く知られている弱点です。特に3.5Lモデルの市街地燃費と、ハイオク仕様である点は、維持費を考える上で覚悟が必要です。
  2. 大柄なボディによる取り回しの悪さ: 全長約4.9m、全幅1.85mというサイズは、狭い路地やコインパーキングなどでは運転に気を使います。特に、以前乗っていたクルマが小さいサイズだった場合、慣れるまでは車両感覚を掴むのに苦労するかもしれません。
  3. 経年劣化による故障リスク :初期モデルは登場から10年以上が経過しており、経年による故障リスクは避けられません。特に以下の点は、中古車選びの際に注意深くチェックしたいポイントです。
    • CVTの不具合:加速時に息継ぎのような症状や異音が出る場合があります。CVT本体の交換となると50万円以上の高額な修理費用がかかるケースもあります。
    • オルタネーターの異音:エンジンルームから「コロコロ」という異音が発生することがあります。発電系統のトラブルに繋がるため、早期の対応が必要です。
    • その他の注意点:パワーステアリングからのオイル漏れ、リアタイヤ付近にあるエアコンパイプの腐食によるガス漏れ、ダッシュボードのひび割れといった事例も報告されています。

これらの弱点を理解した上で、中古車を選ぶ際は整備記録がしっかりと残っている車両を選び、信頼できる販売店で念入りな納車前点検をしてもらうことが、安心して長く乗るための重要なポイントとなります。

明日から実践可能!燃費を1km/Lでも向上させる具体的な方法

エルグランドE52の燃費は、決してドライバーの努力では変えられない壁ではありません。日々の少しの心がけと、簡単なメンテナンスを組み合わせることで、給油回数を減らし、お財布への負担を確実に軽くすることが可能です。

明日から実践可能!燃費を1km/Lでも向上させる具体的な方法

「どうせ燃費は悪いから」と諦める前に、明日からすぐに始められる燃費向上テクニックを試してみませんか?

アクセルワークで差がつく!プロが教えるエコドライブ術

燃費に最も大きな影響を与えるのは、ドライバーの右足、つまりアクセルの踏み方です。以下の4つのポイントを意識するだけで、走りは驚くほど経済的になります。

  1. 「ふんわりアクセル」で穏やかに発進する :信号が青に変わった瞬間、グッとアクセルを踏み込むのは最も燃料を無駄にする行為です。最初の5秒で時速20km程度に到達するくらいのイメージで、じわっと優しくアクセルを踏み込みましょう。この「ふんわりアクセル」を徹底するだけで、燃費は10%以上改善すると言われています。
  2. 車間距離を保ち、加減速を減らす :運転中は常に数台先の交通状況を予測し、不要な加速やブレーキを減らすことが重要です。前の車との車間距離を十分に取ることで、急な割り込みをされても慌ててブレーキを踏む必要がなくなり、スムーズな運転が維持できます。
  3. 早めのアクセルオフで、エンジンブレーキを活用: 前方の信号が赤に変わったのが見えたら、すぐにアクセルから足を離しましょう。そうすることでエンジンブレーキが効き、燃料の供給がカットされた状態で惰性走行ができます。ギリギリまでアクセルを踏んでブレーキに頼る運転は、燃料とブレーキパッドの両方を無駄にしてしまいます。
  4. 「ECOモード」と「クルーズコントロール」を味方につける: エルグランドE52には、燃費向上を助ける便利な機能が備わっています。
    • ECOモード:スイッチを入れると、エンジンの反応が穏やかになり、無意識のうちに急加速をしてしまうのを防いでくれます。特にストップ&ゴーの多い市街地で効果的です。
    • クルーズコントロール:高速道路などで、一定の速度を保って走行する際に非常に有効です。アクセルの踏み加減を自動で調整してくれるため、人間が操作するよりも効率的に燃料を使い、安定した燃費を実現できます。

タイヤ空気圧とオイル交換|燃費に効くメンテナンスのコツ

運転技術と並行して行いたいのが、愛車のコンディションを良好に保つためのメンテナンスです。特に以下の2点は燃費への影響が大きく、効果を体感しやすいポイントです。

  • タイヤの空気圧を適正に保つ: タイヤの空気が減っていると、:気圧をチェックする習慣をつけましょう。適正な空気圧は、運転席のドアを開けた内側に貼られているシールに記載されています。この数値を基準に、常に適正値を保つことが燃費改善の基本です。
  • エンジンオイルを定期的に交換する: エンジンオイルは、エンジン内部の摩擦を減らし、スムーズな回転を助ける重要な役割を担っています。オイルが劣化すると潤滑性能が落ち、エンジン効率が悪化して燃費に影響します。メーカーが推奨する交換時期や走行距離を守り、定期的に新しいオイルに交換することで、エンジンは常に最高のパフォーマンスを発揮し、燃費の悪化を防ぐことができます。

これらの運転術とメンテナンスを組み合わせることで、エルグランドE52の燃費性能を最大限に引き出すことが可能です。

【ライバル比較】アルファード/ヴェルファイアと燃費はどっちがいい?

【ライバル比較】アルファード/ヴェルファイアと燃費はどっちがいい?

エルグランドを語る上で避けて通れないのが、長年のライバルであるトヨタ「アルファード」および「ヴェルファイア」の存在です。特に燃費性能においては、両者の間には明確な差があります。

結論から言えば、純粋な燃費性能では、全ての項目でアルファード/ヴェルファイアがエルグランドを上回ります。

その最大の理由は、ハイブリッドモデルの存在です。エルグランドがガソリンエンジンのみのラインナップであるのに対し、アルファード/ヴェルファイアは燃費に優れたハイブリッドシステムをいち早く導入し、経済性を重視するユーザー層の支持を集めてきました。

項目 エルグランド E52 アルファード/ヴェルファイア (30系)
2.5L ガソリン実燃費 約8.0~10.0km/L 約9.0~11.0km/L
3.5L ガソリン実燃費 約6.5~8.5km/L 約8.5~9.5km/L
ハイブリッド実燃費 設定なし 約12.0~14.0km/L
燃費面での特徴 純ガソリンエンジンのみの構成 ハイブリッドの選択肢があり、燃費性能で圧倒的に有利

では、エルグランドを選ぶ価値はないのか?

決してそんなことはありません。この燃費の差は、クルマ選びにおける「何を重視するか」という価値観の違いの表れです。

  • 燃費と経済性を最優先するなら → アルファード/ヴェルファイア、特にハイブリッドモデルが最適な選択です。
  • 走行安定性や独特の乗り味、そして中古車市場での割安感を重視するなら → エルグランドE52が魅力的な選択肢となります。

エルグランドはライバルより重心が低く、セダンのような安定した走行フィールを持つという特徴があります。

燃費という一面的な指標だけでなく、走りやデザイン、そして購入時の価格といった総合的なバランスを見て、あなたにとっての「最高のミニバン」を選んでいただくのが良いでしょう。

中古車購入前に必読!燃費性能がリセールバリューに与える影響

燃費性能がリセールバリューに与える影響
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クルマの価値は、購入時の価格だけでなく、将来売却する際の価値、つまり「リセールバリュー」まで含めて考えるのが賢い選択です。

そして、エルグランドE52の燃費性能は、このリセールバリューに直接的な影響を与えています。

端的に言えば、エルグランドE52の燃費の悪さは、リセールバリューを低下させる大きな要因となっています。

中古車購入前に必読!燃費性能がリセールバリューに与える影響

維持費の中でも特に負担の大きいガソリン代がかさむモデルは、中古車市場での需要が伸び悩みやすく、結果として買取価格が低くなる傾向にあるのです。

ライバルのアルファード/ヴェルファイアに、燃費の良いハイブリッドという強力な選択肢があることも、相対的にエルグランドの価値を押し下げる一因となっています。

賢い売却のために|燃費性能は下取り価格にどう響くか

「では、エルグランドは売る時に損をするしかないのか?」と不安になるかもしれませんが、決してそんなことはありません。

燃費という弱点を理解した上で、その価値を最大限に引き出すための賢い売却方法が存在します。

  1. エルグランドならではの「強み」をアピールする :燃費以外の魅力を前面に押し出しましょう。低重心で安定した走行性能、豪華で質感の高い内装、人気の「ハイウェイスター」や「VIP」といったグレード、アラウンドビューモニターなどの人気装備は、査定額をプラスにする強力なアピールポイントです。
  2. 「整備記録簿」で信頼性を示す: 「このクルマは大切に乗られてきた」という証明は、何よりの武器になります。定期的なオイル交換や点検の記録がしっかりと残っている整備記録簿は、査定士に安心感を与え、燃費の悪さという懸念を払拭する材料になります。
  3. 売却のタイミングを見極める :走行距離が8万km、10万kmといった大台に乗る前や、車検が切れる前に売却するのが基本です。さらに、次期型モデルが登場すると旧型モデルの相場は大きく下落します。エルグランドE52の売却を考えているなら、新型が登場する前に動くのが最も賢明です。
  4. ディーラー下取りではなく「買取業者」に依頼する :新車購入時のディーラー下取りは手間がかかりませんが、最も高く売れる方法とは限りません。複数の買取業者に査定を依頼し、競争させることで、下取り価格よりも数十万円高く売れるケースも珍しくありません。

【番外編】エルグランドにハイブリッドモデルは存在する?

【番外編】エルグランドにハイブリッドモデルは存在する?
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結論として、E52型エルグランドにハイブリッドモデルは存在しません。

ラインナップは2.5Lと3.5Lの純ガソリンエンジンのみで、アイドリングストップ機能も搭載されていません。これが、ライバルであるアルファード/ヴェルファイアとの燃費競争において、常に不利な立場に置かれてきた最大の理由です。

燃費性能を最重要視するユーザーにとって、ハイブリッドの選択肢がないことはE52の明確なウィークポイントと言えるでしょう。

【最新情報】次期型(新型)エルグランドの燃費はどうなる?

【最新情報】次期型(新型)エルグランドの燃費はどうなる?

長年の沈黙を破り、ついに次期型エルグランドの情報が現実味を帯びてきました。そして最大の注目点は、これまで弱点とされ続けてきた燃費性能が劇的に進化することです。

次期型エルグランドには、日産が誇る先進のハイブリッド技術「第3世代e-POWER」が搭載されることが確実視されています。

e-POWERは、エンジンを発電にのみ使用し、100%モーターで駆動するシステムです。これにより、電気自動車のような静かで力強い加速と、圧倒的な低燃費を両立します。

気になる目標燃費は、WLTCモードで18km/L前後と予想されています。

これは、現行の2.5Lガソリンモデル(10.0km/L)と比較して、約2倍近い燃費改善を意味します。長年のライバルであるアルファード/ヴェルファイアのハイブリッドモデルと、ついに燃費性能で肩を並べることになるのです。

新時代の高級ミニバンとして生まれ変わることが大いに期待

次期型エルグランドは、「燃費が悪い」という長年のイメージを完全に払拭し、走行性能と経済性を高い次元で両立した、新時代の高級ミニバンとして生まれ変わることが大いに期待されています。

【総括】エルグランドE52の燃費という個性を理解し、最高のカーライフを手に入れる

これまでエルグランドE52の燃費、具体的な維持費、そして後悔しないためのモデル選びのポイントを多角的に見てきました。

燃費は確かに現代のクルマと比べると見劣りしますが、それを補って余りある走行性能や豪華な空間といった魅力があるのもまた事実です。

最後に、あなたのエルグランド選びと、購入後の豊かなカーライフを実現するための重要なポイントを、チェックリストとしてまとめました。

  • エルグランドE52の実燃費は街乗りで6~8km/L、高速で9~11km/Lが現実的な目安
  • 燃費が低い最大の理由は約2トンの車両重量とハイブリッドが不在なこと
  • 3.5Lモデルはハイオク仕様のため2.5Lモデルより燃料代が年間5万円以上高くなることも
  • 年間の総維持費は2.5Lモデルで約30万円~、3.5Lモデルで約40万円~を見ておく
  • 経済性を最優先するなら2.5Lモデルがベストな選択
  • 高速走行や多人数での移動が多いなら3.5Lモデルのパワーが大きな満足感を与える
  • 降雪地帯やアウトドアでの利用がなければ経済的な2WDで十分
  • 初期費用を抑えたいなら前期型、デザインの新しさや装備を求めるなら後期型
  • 燃費は「ふんわりアクセル」や「ECOモード」の活用で改善できる
  • タイヤの空気圧管理と定期的なオイル交換は燃費維持に不可欠
  • CVTやオルタネーターの異音など、中古車ならではの弱点も把握しておく
  • 燃費性能でライバルのアルファードに劣る点は購入前に理解が必要
  • リセールバリューは低い傾向だが、整備履歴や売却方法で高く売ることは可能
  • 次期型エルグランドはe-POWER搭載で燃費の大幅な向上が期待されている